ノロウイルスって知っていますか?
監修:日本大学 医学部 微生物分野 上席研究員 牛島 廣治先生
ノロウイルス感染症とは?
ノロウイルスは乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で下痢やおう吐を引き起こすウイルスです。
「感染性胃腸炎」の原因となるウイルスで、散発的とともに保育園・幼稚園や学校、高齢者施設などで集団感染発生原因ともなっています。
- 流行時期
- おもに11月~2月
- 感染経路
- ヒトからヒトへの感染と、食品を介しておこる食中毒があります。
- 感染経路がはっきりせず急に寒くなり全国一斉に発生する乳幼児の場合。
- 感染した人の便やおう吐物に触れて、手指を介して口に入った場合。
- 感染した人の便やおう吐物が乾燥して、空気中の埃や粉塵として舞い上がり体内に取り込んだ場合。
- 感染した人が汚染した手のままで調理した食品を食べた場合。
- ウイルスに汚染した二枚貝を生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合。
- 潜伏期間
- 多くは24~48時間
- 症状
- 吐き気、おう吐・下痢・腹痛・軽度の発熱
主な症状は吐き気、おう吐、下痢、腹痛、軽度の発熱が見られます。通常は2~3日で回復し、後遺症もありません。
また、感染しても発症しない場合や風邪のような症状もあります。
しかし、乳幼児や高齢者などでは、重症化したり、おう吐物をのどに詰まらせたりするケースがあります。
ノロウイルスの検査
ノロウイルスの検査は簡単です。
ノロウイルスの検査の材料(便)は、綿棒を直接、肛門に挿入して採取するか、排泄された便から採取します。検査の結果も10分くらいですぐにわかります。
ノロウイルス感染の診断は検査結果および臨床症状を考慮して医師が総合的に判断します。ノロウイルスの流行時期におう吐、下痢、腹痛等の症状がある場合は早めに病院や医院を受診しましょう。
ノロウイルスの治療
ノロウイルス感染症への特別な治療法はなく、特効薬もありません。このため、症状を和らげる補液、鎮吐薬や整腸薬などの対症療法が行われます。
乳幼児や高齢者では、おう吐、下痢による脱水症状を引き起こすことがありますので、水分と栄養を補給することが大切です。
<参考>
少量(20ml位)の経口補水液を飲ませ、20~30分位繰り返します。その後おう吐がなければ、ゆっくり50~100mlを飲ませます。
ノロウイルス感染の予防
感染した人の便やおう吐物にはウイルスが大量に含まれています。
次のことに気をつけて予防しましょう。
- 手洗い
- トイレの後、食事や調理の前などには、せっけんを使いしっかりと手を洗いましょう。
※30秒以上、繰り返し洗ってください。 - 食品への過熱
- ノロウイルス汚染の可能性がある食品を調理する場合は、十分に加熱しましょう。
(中心温度が85℃~90℃で90秒以上の加熱) - 便やおう吐物の処理
- 素手で触らず、必ずビニール手袋、マスク、エプロン(ガウン)を着用してください。
雑巾、タオル等でおう吐物、下痢便をしっかりふき取ってください。ふき取った雑巾、タオルはビニール袋に入れて密封し、捨てることをお勧めします。
おう吐物の消毒は市販の塩素系消毒剤(漂白剤)を希釈したものを使用してください。
(次亜塩素酸ナトリウム0.1%または1000ppm)